スキューバダイビングのプロになるにはどうしたらいいの?
目次
Toggleダイビングのプロってどんな人?

ボートダイビングのアシスタント練習
この記事を読んでくれている方は少なからずスキューバダイビングが好きになった方だと思います。
そして「プロ」という言葉が気になっているということは、こんな気持ちを抱いているのではないでしょうか。
「さらにレベルアップしたい!」
「素敵な水中世界をもっと広く多くの人に知ってほしい!」
「ダイビングを仕事にしたい!」
私自身が実際にそうでしたし、私が講習をしている中で出会うダイバーさんは、向上心がある方が多いです。その方々は、スキルアップや知識をつけることによって、ダイビングがさらに楽しくなって、自己研鑽できるようになると考えています。
また、スキューバダイビングを仕事にする・しないに関わらず、安全なダイバーになるためにレベルアップする方もいます。新しい知識を身に付けたり、スキルをブラッシュアップすることは、自分を磨くことにもつながるので、達成感と充実感を得ることができます。
もしダイビングを仕事にしたい!と思っている場合は、まずはやりたい仕事内容を整理してみましょう。それによって、必要なプロダイバーとしてのライセンスが異なります。
・ファンダイビングのガイドがしたい!⇒PADIダイブマスター(DM)
・ガイドも講習もしたい!⇒PADIオープンウォーター・スクーバインストラクター(OWSI)
※ダイビングショップによっては雇用条件としてOWSIが必須の場合もあります。
今回の記事ではすでにPADIダイブマスターを取得した先のPADIオープンウォーター・スクーバインストラクターについて紹介していきます
インストラクターになるにはどうしたらいい?

PADIのコースフローチャート
まずはダイブマスターの取得
PADIプロコースの最初の関門はダイブマスター(DM)です。
今回はオープンウォーター・スクーバインストラクターに焦点を当てていますので、ダイブマスター講習のことは簡単に説明させていただきます。
まず、ダイブマスター講習は約8日間に渡って学科講習とスキル講習があります。開催するダイビングショップの環境によって日数に1日〜2日の差はありますが、アドバンスドオープンウォーターダイバーコースやレスキューダイバーコースが2日間で修了できることを考えると、かなり長いですね。
その8日間の内容は、オープンウォーターダイバーの講習をアシストするために基礎的な水中スキルを磨いて、プレゼンテーションができるレベルのスキルを身につけたり、水中ガイドをするための知識とスキルを学んだり、泳力チェックなどを行います。
水中スキルを磨いて、プレゼンテーションができるレベルのスキルを身につけたり、水中ガイドをするための知識とスキルを学んだり、泳力チェックなどを行います。
それぞれの項目には評価基準があるので、自分の知識とスキルを客観的に判断されることとなります。そしてこれらのスキルや知識はPADIオープンウォーター・スクーバインストラクターになるためにも必要なものとなります。

美しい沖縄の海でインストラクター試験に挑む
インストラクター開発コースで2つの資格を取得
ダイブマスターの上に、アシスタントインストラクター(AI)とオープンウォーター・スクーバインストラクター(OWSI)があります。OWSIは講習を受ければ認定されるものではなく、インストラクター開発コース(IDC)を修了し、PADIの開催するインストラクターエグザミネーション(IE)に合格することによって、OWSIに認定されます。
車の教習所で言えば、IDCが仮免許までの練習期間で、IEは卒業検定のようなものです。
インストラクター開発コースを受講する前には以下の経験が必要です。(以下、PADIインストラクターマニュアルより抜粋)
・18歳以上および認定ダイバーになってから6ヶ月以上経過
・PADIアシスタントインストラクター、 PADIインストラクター、または少なくとも過去 6 か月 にわたって、一般に広く認められている他のレクリエーション・ダイバー教育機関に所属する優良インストラクター
・必要に応じて、 PADI 以外の参加受入資格を満たすエントリー・レベル、アドヴァンスド、レスキュー、リーダーシップ・レベルに相当する資格を証明する書類
・ダイビングに適した健康体であると医師が署名し、健康状態に変化はないことが記された過去 12 か月以内のダイバーメディカルフォームを提出する
・過去 24 か月以内に、EFR一次・二次ケアコースまたは参加受入資格を満たす他のトレーニングを修了、更新済みの EFRインストラクター、または他の救急医療団体のCPR/ファーストエイド・ インストラクター
簡単に言うと、オープンウォーターダイバーを取得して6か月以上たっていること、18歳以上であること、健康であること、必要な資格を所持していることがオープンウォーター・スクーバインストラクターになるための条件です。
プロコース(IDC)はどんな講習を受けるの?

ビーチダイビングでスキル練習
PADIオープンウォーター・スクーバインストラクターになると、すべての条件をクリアしたオープンウォーターダイバー講習生に対してダイビングライセンス(Cカード)を発行することができるようになります。これには、以下のようにダイブマスターよりもレベルの高いスキルと知識が求められます。
1.デモンストレーションレベルでスキルができるようになること
オープンウォーターダイバーコースの講習生が、見本であるインストラクターのように上手くスキルを実施することはとても難しいです。したがって、誰でもできるようにわかりやすく簡単そうな見本をゆっくり落ち着いて見せる必要があります。
2.知識開発プレゼンテーション(学科講習の指導)ができるようになること
オープンウォーターダイバーコースやその他のコースの講習生に対して、必要なダイビングの知識を理解してもらうことで、その後のスキルの習得度に違いが出てきます。一つの項目に対して端的に、記憶に残るようにわかりやすく、そして必要なことだけを正確に伝えるにはコツと練習が必要です。
3.レスキュースキルの洗練
万が一の事態に必要なレスキュースキル。プロとして体に覚えさせるのはもちろんのこと、レスキューダイバーやダイブマスターの講習で生徒に教えられるように、デモンストレーションレベルの精度が求められます。
4.ダイビングに関する知識をつけること
物理学・生理学・器材の構造・特殊なスキルと水中環境・減圧理論とRDPという5科目の内容をまんべんなく理解することによってダイバーからの質問に答えることができ、プロとしての自信がつきます。各科目の筆記テストがあり、75%以上の正答率が必要です。
5.ダイビングのルールや法的リスクを学ぶ
世界中で一貫されたクオリティのインストラクションを提供するためにPADIの定めた理念や講習の規準を確認するテストがあります。これはインストラクター用のマニュアルを使用したオープンブック式で、問題に対しての回答を時間内に全て見つけることが課題です。このテストも75%以上の正答率が必要です。
インストラクター開発コースの期間

レスキューダイバーのスキルも思い出しておこう
インストラクター開発コースに必要な期間は、開催するダイビングショップの環境によって変動がありますが、PADIが規準として定めているのは最小限6日間です。
この6日間というのは事前にeラーニングを修了させた場合の講習日数です。インストラクター開発コースが始まる前の自主学習は必ず修了させておく必要があります。
ただし、自身のスキルレベルに応じてその日数を増やす必要があります。ダイブマスターとしての活動やインターシップの経験がない方は、日数に余裕を持った方がいいでしょう。
ダイビングスキルの熟練度が足りないこともありますので、ダイビングスクールマレアでは通常10日間の期間で、インストラクターエグザミネーション(以下、IE)に挑むための知識とスキルの習得を完成させるスケジュールを立てています。
自分のスキルに応じて日数を調整できるということですが、そのスキルの評価は自分で行うものではなく、インストラクター開発コース(以下、IDC)を担当するインストラクターに客観的に確認してもらいましょう。
また、インストラクター開発コース(IDC)を受講するオススメの時期は、インストラクターエグザミネーション(IE)の直前です。
IDCを修了してからIEを受けるまでに時間が空けばあくほど、忘れてしまうことが多くなります。理想のスケジュールはIDCが終了した翌日にIEを受けることです。
IEは年間スケジュールと開催場所が決まっているので、受講予定の方はPADIのWebサイトで事前に調べてみてください。1つのダイビングショップから参加するIEの受講人数が多ければ、PADIに対してIEをリクエストすることもできます。
ダイビングスクールマレア石垣島店と宮古島店では、PADIのWebサイトに載っていない日程のIEを開催することがありますので、ぜひ一度お問い合わせください。
まとめ

サーチ&リカバリーのスキルも習得必須
これまでの内容は難しそうなことが書かれていたかもしれません。ただ、どんな勉強やスキルであっても繰り返し練習すれば必ずできるようになります。
まずはダイブマスターを受講することで、自分がプロダイバーに向いているか?素質があるのか?体力的についていけるのか?などの不安なことが1つずつクリアできるはずです。
それらの必要なサポートは、IDCまでのプロコース開催が可能な上位インストラクター資格を持つスタッフがしっかりと丁寧に行わせていただきますので、頑張った先にある充実感・達成感を一緒に味わいましょう!
この記事を書いた人
吉野みずほ(40)PADIコースディレクター
立命館大学 政策科学部卒業
得意なことは、少人数で学習効果の高いトレーニングを行うことと、サンセットを眺めながらの美味しいビールの飲み方
– Profile –
実家のある京都で幼少の頃より山や湖などの自然で遊び育ち、大学を卒業した後に東京で就職。人材紹介会社の勤務を経て、趣味として始めたスキューバダイビングでプロ資格まで取得。
その後、生徒だった時に尊敬していたインストラクターを追いかけて沖縄へ移住。宮古島で7年間のインストラクター勤務の後に、マレーシアで年に1回だけ開催されるトレーナーコースでPADI最高峰インストラクター資格を取得。
ダイビングスクールマレア史上2人目の最高資格を所持する女性インストラクターとして、最南端店舗の石垣島で初心者からダイビングを極めたいプロ志向の方まで優しく丁寧に指導しています。